2011年8月アーカイブ

利息制限法の上限利率は、下記のとおりです。

元本が10万円未満の場合 年20%
元本が10万円以上100万円未満の場合 年18%
元本が100万円以上の場合 年15%

では、継続的に借入と返済をしている途中で、借入額が減ったり増えたりすると、適用利率は変更になるのでしょうか。

たとえば、借入元本が最初5万円であったのが、取引途中で10万円に増えて、その後さらに増えて100万円になった、というような場合、利息制限法による引き直し計算における適用利率はどうすべきか、という問題ですが、このようなケースは特に争いはなく、借入元本が最初5万円のときは20%に引き直し、残元金が10万円になった時点で18%に引き直し、100万円になった時点で15%に引き直す、という方法になります。

 しかし、判断が分かれていたのが、これとは逆に、借入元金が取引途中に減少した場合です。たとえば、借入元本が最初100万円であったのが、返済を継続することにより、取引途中で10万円に減って、その後さらに減って5万円になった、というような場合です。このようなケースでは、借入元本が増加したケースとは反対に、適用利率を15%→18%→20%と増加してよいのか、という問題です。

この点について、最高裁の判断が示されたのが、最高裁第三小法廷平成22年4月22日判決です。結論は、「適用利率を15%→18%→20%と増加させるのは間違いで、ずっと15%で計算するのが正しい」ということです。

このような結論となる理由ですが、判決では、次のように述べています。
「取引の過程で,ある借入れがされたことによって従前の借入金残元本と新たな借入金との合計額が利息制限法1条1項所定の各区分における上限額を超えることになったとき,すなわち,上記の合計額が10万円未満から10万円以上に,あるいは100万円未満から100万円以上に増加したときは,上記取引に適用される制限利率が変更され,新たな制限を超える利息の約定が無効となるが,」
元本が増えたときは、適用利率を15%→18%→20%と増加させるということを言っています。
「ある借入れの時点で上記の合計額が同項所定の各区分における下限額を下回るに至ったとしても,いったん無効となった利息の約定が有効になることはなく,上記取引に適用される制限利率が変更されることはない。」
上限を超えていったん無効となった以上、それが復活するということはないということですね。

これで、適用利率に関する争いは、最高裁の判決により、借主に有利な形で決着したということになります。

利息制限法による引き直し計算

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