現在かなり一般的になった感のある過払い金の問題についても、そのからくり、こういったことは一体どういうことなのか?ということを理解しておかなければ何も進みませんよね。法律的に、どうして過払い金が発生するのかという点について、詳しくご説明致します。
まず、利息制限法というものがあるんですが、この上限である金利15~20%を超えて余分に支払った金額を、借入金の元金を返済したものとして再計算し、払い過ぎとなっていた部分については返還していただくということなんです。なぜ法律の上限を超えた金利による契約があるのかについてはここでは触れませんが、とにかく上限を超えたものは無効であるから、この違法状態を解消しなければいけません。その方法として、元金への充当という方法がとられるということです。
払いすぎとなった利息を、返還するのではなく、元金に充当するという処理方法の根拠は、最高裁判例です。最大判昭和39年11月18日民集18巻9号1868頁で、「債務者が利息制限法所定の制限を越える金銭消費貸借上の利息・損害金を任意に支払ったときは、右制限を越える部分は民法491条により残存元本に充当とれるものと解するを相当とする」と判断されたことにより、このような処理方法が確立されました。
そして、一般的に「過払い金」といわれているのは、払いすぎた利息のことではありません。払いすぎた利息は、上記説明したとおり、返還請求の対象ではなく、借入金に充当されるのです。では、過払い金とは何でしょうか?それは、借入れと返済が継続的に繰り返される取引においては、この充当計算を数年間について行なうと、借入れ元金が消滅することから、その後に行なった返済がすべて不当利得となる、この不当利得金のことを指しています。
ちょっとわかりにくいですが、具体的に言うと、毎月1万円利息を支払っていたところ、法律で規定する利息の上限は6000円であったとします。すると、上限を超えた部分4000円は無効な支払いですが、この4000円を返還請求することはできません。この4000円は、借入れ元金に充当され、元金を減らすという処理をすることになります。そして、毎月ずーっと1万円の利息を支払うと、徐々に借入れ元金は減っていきます。そして、借入れ元金がゼロになった後も1万円の返済をすると、これが過払い金になります。借入れ元金がゼロになった後、毎月1万円の支払いを1年間継続したら、合計12万円が過払い金になるということになります。
過払い金の返還請求は自分でできるそうなんですが、やはり金融会社に直接こういった問題を交渉するというのは、嫌ですよね。しかも、ケースによっては、裁判など面倒な手続きも必要になってきますので、専門家の方に相談して、代わりにやってもらうというのが一番良い方法だと思います。専門家の方に依頼すれば、解らないことも、面倒な手続きも解決できますし、一人で悩むというよりも早く解決できると思います。